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佐渡芸能の歴史

花笠踊り解説:山本修巳  
(郷土史家、佐渡市文化財保護審議会会長、「佐渡郷土文化」主宰)

佐渡の風流には、花笠踊りがあります。

久知八幡の花笠踊り


両津地区城腰集落の花笠踊りは9月15日の久知八幡宮の祭礼に奉納されます。

伝承では、中世の久知郷六代目の地頭本間時泰が段丘上に約30町歩の水田を開墾した際に、その水源についての神託を久知八幡宮から得て、そのお礼のため、花笠踊りを武左衛門に命じて習得させ奉納したとされています。なお、武左衛門は春日姓を賜り、永代総指南役となりました。しかし、春日家が集落を離れたため、現在谷家が引き継いでいます。「役付け」は、ほぼ世襲的となっています。

祭礼当日は、午前11時ころ総指南役の家に集まり、行列を練って出発します。
「順序は、東西坊、獅子3匹(雄・子・雌)、鬼・大太鼓・笛吹き・御田の太夫・地唄・踊り子・下り葉・垣だち・役者人足・旦那・法師となっています。
花笠踊りは、神社の拝殿の前に八角形の組み立て式木棚を立て、その中で行われます。
板敷の間にござを敷いて囃子方が向き合って座りますが、社殿に向かって右側の頭取(指南役)1人、中音頭(地謡)4人が並び、左側に笛吹き2人、鉦叩き1人、中太鼓1人が並びます。
そして、御田の踊り子14人が、その周りを唄につれて踊りながらまわりますが、その中に御田の太夫1人もまじっています。服装は御田の踊り子は、造花の赤・青・黄・紫などの一輪の花をさした笠を被り、早乙女姿で、古袖の着物に脚胖、白足袋、草鞋ばき、手に扇子を持って踊ります。

御田の太夫は、花笠ではなく、烏帽子をかぶり幣束を持っています。
鬼は三つ巴のついた黒繻子の腹かけえをして、面は黒塗り、獅子は小獅子舞です。花笠踊りは、御田踊・神事踊・千代踊・金田踊で構成されます。

佐渡奉行所では、毎年、八幡宮へ30石の除米を与え、城腰の春日武左衛門へは祭の指南役として一俵の除米を交付、踊り子にも1人につき一升を出して、城腰集落の花笠踊りの保護を続けていました。


赤玉集落の花笠踊り


赤玉集落の花笠踊りは、4月9日に近い日曜日に行われる赤玉神社祭礼と、6月の第1日曜日の杉池大明神の祭礼に奉納されます。
京都から習ったとも、京都の宇京家が伝えたとも言われていますが、始まりについては定かではありません。

祭礼当日、傘鉾・大太鼓・地方・鬼・笛吹き・獅子・花笠の踊り子・大獅子が神社の急な石段を上り神社に向かいます。
花笠は小学生ら男女十数名。笠には紙製の造花、縁には赤木綿の垂れ布を回しています。顔の正面はあけて、黄神の短冊が貼りさげてあります。
踊り子の中で烏帽子をかぶり、幣束を持った男子が頭取で、頭取は踊りの前に口上を述べます。歌詞には田植唄・花笠唄・ささの歌があります。

赤玉集落は、地理的にも城腰集落に近く、踊りは全体的に似ていて、花笠の装束・飾り物などは、ほぼ同じであるが、赤玉集落の踊りには大きな傘鉾があります。

相川地区北田野浦集落の花笠踊りは、4月15日の祭礼の宵宮14日に、御礼智神社に奉納されます。
午後6時ころ集落センターに集まり支度をしたあと、7時半ころ、センターの前で花笠踊りを舞います。
この後、神社に向かって出発。行列は、槍持ち・提灯を先頭に、太鼓・傘鉾、小獅子・棒振り・芸打ち、花笠踊りを踊るささらすりが続きます。
踊る場所は、神社や寺など4ケ所です。

北田野浦の花笠踊り


北田野浦の花笠踊りは、色紙などで作った飾りまんじゅうを笠につけて、それを頭にかぶった女装のささらすり6人と3匹の親子の獅子が中心になって、太鼓や笛に合わせて舞います。
ささらすりは、竹で作ったささらよ呼ばれる楽器を両手に持ち、それを摺り合わせたり叩いたりしてリズムをとって踊ります。

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